【遊戯王DL】「局所的ハリケーン」の禁止について考える 後編

考察記事

今回はタイトル通り、前回の記事の続き物となっています。

前回は少し、陰謀論じみた考察で、ネタに走ってしまった部分があるので、後編では真面目にカードゲーム、「遊戯王」としての「局所的ハリケーン」の禁止について、再度考察していきたいと考えます。

前回もわりと多角的に考察を落としてたんですけど、このカードとその禁止に関しては、考えさせられる部分がまだまだ残ってるので、そこを順番に掘っていきたいと思います。

それでは、参りましょう。

前回までのあらすじ

「局所的ハリケーン」は、競技的に健全な環境を整えるため、というよりは、世界大会での「配信映え」を重視するため、という「大人の事情」で禁止になってしまった。知らんけど。

 

今回は冒頭でも述べた通り、カードゲームとしての考察、評価を行うので、これ以降は一旦「大人の事情」的な要素はナシで勧めていきます。

物事を都合よく忘れられるのも、いい大人の条件だと思うので、そういうことにしておいてください。

「局所的ハリケーン」はなぜ許されなかったのか

前回の記事も含めて、ここまで述べてきたように、「局所的ハリケーン」は1枚でゲームを終わらせる準備ができるカードであり、そこにお互いのプレイが絡まないことが最大の問題点であるといえます。

では、この「1枚でゲームを終わらせる準備ができる」という問題はどうして解決されなかったのでしょうか?
今回はまず、ここを深堀りしていくとしましょう。

っと、その前に、少しだけ、遊戯王OCGの話をさせてください。

遊戯王OCGには、「局所的ハリケーン」の(ほぼ)上位互換的な役割を持つ「ライトニング・ストーム」という、飲み会の席で酔っ払った上司が適当にテキストを考えたとしか思えないような非常に野蛮で雑なパワーカードが存在します。

【 通常魔法 】

このカード名のカードは1ターンに1枚しか発動できない。
①:自分フィールドに表側表示のカードが存在しない場合、以下の効果から1つを選択して発動できる。
●相手フィールドの攻撃表示モンスターを全て破壊する。
●相手フィールドの魔法・罠カードを全て破壊する。

皆さん、ぜひ一度、テキストを確認してみてください。
そして、知らなかった方は、ぶったまげてください。

これは、インフレが進んだと散々揶揄されている現代遊戯王のカードの中でも、屈指のパワーカードであることが間違いないものです。
もちろん、サイドカードの常連でもあり、こんなカードがマトモにぶちあたってしまえば、いかに現代遊戯王の罠ビートといえど、普通に消し飛ぶ破壊力です。

そして、この「ライトニング・ストーム」という野蛮なカードは、最初の発売日が2019年の10月と、もうすぐ実装から2年が経とうとしていてなお、現役のカードです。
結構長生きですね。

 

それでは、ここでみなさんにクイズです。
この「ライトニング・ストーム」というカードは、最新の禁止制限改定で、デッキに何枚まで採用していいとされているカードだと思われますか?

参考までに、類似した役割、効果を持つ「ハーピィの羽根箒」は制限カード(デッキに1枚のみ採用可能)です。

「ハーピィの羽根箒」

【 通常魔法 】

相手のフィールド上の魔法・罠カードを全て破壊する。

 

 

いかがでしょうか?
「サイドカードの常連」というワードに、「おや?」と引っかかった鋭い思考の持ち主は、答えにたどり着いているかもしれませんね。

 

正解は「無制限」です。
なんと、このカード、現状は採用枚数に制限がありません。
前述の通りこのカードは紛れもないパワーカードにもかかわらずです。

では、ここからがようやく本題です。
私はなにも、現代遊戯王のインフレってスゲーをやりにきたわけではありません。
あくまでも、今回の本題はデュエルリンクスです。

「ライトニングストーム」は、なぜ、許されているのでしょうか?
ここに思い至れば、今回、デュエルリンクスで「局所的ハリケーン」がなぜ許されなかったのか、という点で、私が考える話も自ずと理解していただけるのではないかと考えています。

とはいっても、この答えに関しては、

「ライトニング・ストーム」に対策が取れるだけのカードプールが存在するから

という身も蓋もない結論になってしまいます。

ですが、ここで話は終わりません。
遊戯王OCGにおいて、罠デッキは、どのように「ライトニング・ストーム」と向き合い、対策してきたのでしょうか?

そして、リンクスでは、それらの方法を導入できないのでしょうか?
できるとしたらプールに増やすべきカードはどんなカードだったのでしょうか?
そして、なぜ、「局所的ハリケーン」の対策が実際は存在するのに実装しなかったのででしょうか?

これらを順番に考えていきましょう。

特定カードの対策‐札で見るか、構造で見るか

そもそも、大前提として、カードゲームにおいて、特定のカード、ギミックを対策しようとする場合、2種類の対策法が存在します。

1つ目は、特定カード、テーマを直接対策できるカードを採用する「札で見る」プラン。
2つ目は、デッキの構造そのものをメタ対象に強く作り上げる「構造で見る」プランです。

前回の記事でも取り上げましたが、デュエルリンクスにおいて「局所的ハリケーン」に対するメタとして採用されることが多かったプランは後者の「構造で見る」プランです。

デッキ内の伏せカードを削り、モンスターを主体としたギミックや、永続魔法、罠を主体としたデッキを使用することで、「局所的ハリケーン」を実質的に無力化する方針で対策することが多かったわけです。

話を「ライトニング・ストーム」対策に移します。
「ライトニング・ストーム」は主に罠デッキに対して積極的に投入することを目的として採用されるカードです。

つまり、基本的には、「ライトニング・ストーム」を「構造で見る」プランを選択することが難しい相手に対しての使用を前提としているカードです。
そのため、仮想敵にされている罠ビートデッキもまた、「ライトニング・ストーム」が投入されることを前提としたプランを用意しなければなりません

こうなると、サイド後は「札で見る」プランに移行するわけですが、ここで2つ目のクイズです。
どういったカードを採用することが「ライトニング・ストーム」を対策できるプランになりえるのでしょうか?

今回は、「神の宣告」のような「ライトニング・ストーム」を直接無力化するような対策や、「やぶ蛇」のような受動的な対策でもなく、あくまで、攻めの姿勢を見せられる能動的な対策札として、どのような性質をもった魔法罠カードが採用されるのか、というクイズです。(各カードがわからなければフィーリングで結構です)
少し考えてみてください。

Tips

ここまでの情報から「ライトニング・ストーム」は罠カードを主体としたデッキへのメタカードであること、そして、どうも罠デッキはOCG環境の主流デッキではなさそうだな、という情報も汲み取っていただけたなら幸いです。

仮にトップメタが罠ビートなら、「ライトニング・ストーム」はサイドデッキに収めているだけでいいカードではないからです。
そして、それこそが「ライトニング・ストーム」が規制を免れている要素でもあると考えます。

 

考えていただけたでしょうか?

「ライトニング・ストーム」は魔法罠カードをすべて破壊するカードです。
つまり、対策側は、最悪、破壊されたとしても効果が出るカードを採用することが重要です。

この時、破壊されなければ使えないカードはベストではありません
対戦相手が、そのカードを使ってこなかった場合、手数を無駄に失ってしまい、無駄な負け筋を作るからです。

それでは、答え発表です。

答えは、「発動タイミングを選ばず、発動に成功すればそのターン中、効果が持続するカード」です。

具体的には、「次元障壁」「アーティファクトの神智」といったカードが該当します。

 

「次元障壁」

【 通常罠 】

「次元障壁」は1ターンに1枚しか発動できない。
①:モンスターの種類(儀式・融合・S・X・P)を1つ宣言して発動できる。
このターン、お互いに宣言した種類のモンスターを特殊召喚できず、フィールドの宣言した種類のモンスターの効果は無効化される。

 

「アーティファクトの神智」

【 通常罠 】

デッキから「アーティファクト」と名のついたモンスター1体を特殊召喚する。
「アーティファクトの神智」は1ターンに1枚しか発動できず、このカードを発動するターン、自分はバトルフェイズを行えない。
また、このカードが相手によって破壊された場合、フィールド上のカード1枚を選択して破壊できる。

 

「アーティファクト・デスサイズ」

【 効果モンスター 】
星 5 / 光 / 天使族 / 攻2200 / 守900

①:このカードは魔法カード扱いとして手札から魔法&罠ゾーンにセットできる。
②:魔法&罠ゾーンにセットされたこのカードが相手ターンに破壊され墓地へ送られた場合に発動する。
このカードを特殊召喚する。
③:相手ターンに、このカードが特殊召喚に成功した場合に発動する。
このターン、相手はエクストラデッキからモンスターを特殊召喚できない。

また、これらの、「発動できれば実質ターンスキップ系のカード」の他にも、各種「手札誘発」であったり、カウンター罠カードであったりなど、様々な角度の攻め手を採用することで、「ライトニング・ストーム」が直撃しないようにデッキ構築を行います。

なお、これだけ色々備えても当たるときは直撃します。
カードゲームなのでそれはもう、そういうものです

重要なのは、「札で見る」方針だとしてもカードの採用の仕方である程度、対策が取れるというところです。

局所的ハリケーンが禁止になったちゃんとした理由

ようやく、本題である、「局所的ハリケーン」の対策に話が戻ってきました。

リンクスでは「局所的ハリケーン」を使われた上で効果が持続するような能動的なカードはあったのでしょうか?
答えは、皆さんもご存じの通り、殆どありません。

辛うじて挙げられるのは「異次元グランド」程度であり、とてもじゃないですが、メインデッキに採用できるような格のあるカードではありません

「ヘッドジャッジング」はあらゆる意味でセンス、効果の全てが最悪なカードですが、これもまともな対策ではありません。
でも、そんな多方面にクソなカードですら、一時期は局所対策に駆り出されなければ対策できなかったほど、デュエルリンクスのカードプールは貧弱だったのです。

前期に「青眼」デッキを研究していた立場では、マッチ戦なら「ホーリーライフバリアー」などを用いて「局所的ハリケーン」を対策することができましたが、シングル戦ではほとんどの対面で浮きかねない「ホーリーライフバリアー」を採用することは非常にリスキー、かつリターンの少ない行為で悩まされたことを覚えています。

そして、リンクスの基本的なゲームシステムがシングル戦であり、汎用的な撃ち切りの妨害カードがない以上、「局所的ハリケーン」を「札で見る」という方針をとることは実質的に不可能です。
これでは禁止にするしかありません。

 

また、OCGで活躍している汎用性の高い「ターンスキップ系」カードの導入もほとんど不可能でしょう。
何故なら、それを導入してしまった場合、今度は対策が異常に難しいパワーカードがプールに存在してしまうため、「局所的ハリケーン」以上の脅威となってしまうからです。

つまり、「局所的ハリケーン」の禁止は今後実装するカードのインフレを多少なりとも抑えたい、というリンクス運営からの意思表示でもあると考えています。
(そのわりには随分と野放しでしたが)

一応、使いきりのカードでなくとも、永続魔法、罠カードに強力なものを実装することでも対策は図れますが、リンクス運営にはそういった意思はなかったようです。

「局所」と「狡猾」の比較‐カードの性質

ようやく、今回の締めの部分です。

前回も挙げていましたが、「局所的ハリケーン」と並んで規制されるべきカードである「狡猾な落とし穴」ですが、こちらが見逃されるのにも足る明確な理由があると考えます。

「狡猾な落とし穴」は現時点ではリンクス界最強の引き得カードです。
しかし、これは永遠に続く天下ではありません。

何故なら、遊戯王OCGには「狡猾な落とし穴」以上に強力なカードがまだまだ存在しており、プールさえ増えれば、長期的には相対的に弱体化していく枠だからです。

では、「局所的ハリケーン」はどうでしょうか?
これはむしろ、プールに強力な罠カードが増えるほどに相対的にパワーが上がっていくカードです。
前述の通り、「局所的ハリケーン」に耐性があるカードの実装は難しいため、対策が追加されることもないでしょう。

こう考えたとき、「狡猾な落とし穴」は見逃してもいいが、「局所的ハリケーン」は禁止にするべきだ、という意見は非常にまっとうなものであると思えます。

まとめ

ここまで述べてきたように、短期的に見れば、禁止にするべきなのは「狡猾な落とし穴」ですが、長期的に見て危険なカードは明らかに「局所的ハリケーン」だということが伝わったのではないでしょうか?

それゆえに、私は「局所的ハリケーン」の禁止という措置自体は、非常に納得ができるものだと考えています。

しかし、だからといって短期的に大きな脅威である「狡猾な落とし穴」が野放しでいいとは思いません。
カードプールが増え、「狡猾な落とし穴」以外の有力な選択肢が提示されるようになるまでは、禁止してもいいと考えています。

しかし、この、「プールが整うまでの一時的な禁止」という措置現状、非常に厳しくなってしまったと言わざるをえません。

それは、「局所的ハリケーン」の禁止に伴い、リンクス運営から(形式的な)補填が行われることが確定したからです。
この補填をめぐる問題についても考察はあるのですが、長くなりすぎるので一旦切り上げて、次回以降の題材にしていきたいと思います。

それでは、みなさん、またお会いしましょう。

【遊戯王DL】デュエルリンクスには「クラフト機能」が必要なのではないか

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