[遊戯王DL]KCGT2021本戦決勝ステージ調整録①[世界大会]

KCGT2021

皆さんこんにちは、ATMです。
世界大会の結果から本記事を訪れてくださった方には、「ib-インスタントバレット」の名前の方が通りが良いかもしれません。

本記事では、「ib-インスタントバレット」こと「ATM」が、遊戯王デュエルリンクスの公式の世界大会である「KCGT2021本戦決勝ステージ」にて、TOP8になるまでの調整過程をお届けしたいと思います。

それでは参りましょう。

前回までのあらすじ

先立って行われたKCGT2021本戦1stステージをスイス4-2の予選18位で通過しました。

[遊戯王DL]KCGT2021本戦1stステージ参加レポート前編

【遊戯王DL】KCGT2021本戦1stステージ参加レポート後編【世界大会】

 

予選の後、2人の参加辞退者が発生したことから、18位であった自分まで繰り上がりが発生し、おこぼれながらも本戦決勝ステージ参加資格を獲得するに至りました。

自力獲得とはならなかったものですが、1年前から夢見ていた本戦参加資格を獲得できたのは素直に嬉しいことです。
繰り上がりがほぼ確定となった8月頭頃から、世界チャンピオンの称号獲得を目指して、1年間の集大成となる調整が幕を開けます。

KCGT2021決勝ステージ概要

まずは、今大会の概要から説明していこうと思います。

KCGT2021決勝ステージは、1つのプール内から3デッキを作成して持ち込むBO3です。
界隈ではいわゆる「東海ルール」と呼ばれる、プール共有のフォーマットで行われる大会です。
詳しいことは下記の画像を参照して下さい。

このフォーマット特有の縛りによって、平常時とは比べ物にならないほどに調整は難航することとなります。

なにせ、最低でも3種類、そして、その他の候補となるデッキを全て試した上でデッキ選択を行い、細部の調整までも完璧に行わなければならないためです。
そのため、1つのデッキを調整する際の単純比較3倍などでは済まないような苦難の道のりが幕を開けました。

KCGT2021決勝ステージを巡る事前の環境把握

KCGT1stステージ終了後に「ガガガヘッド」及び「ライノセバス」がリミット2に指定されたことで、「オノマト」1強環境は落ち着くかに思われました。

しかし、実際はそんなことはなく、当時はTierSSS格デッキだった「オノマト」がTierS~1+程度の評価に格落ち(落ちてない)しただけであり、環境の閉塞感は変わりませんでした。

以下、大会環境までの主流デッキのざっくりとした解説です。

オノマト(Onomato)

規制により、「ライノセバス」「ガガガヘッド」「ガガガシスター」といったゲームの核を担っていたカードを多く取り上げられたにも関わらず、変わらず環境王者として君臨していたデッキです。

なんなら、それまでは、「ガガガウィンド」採用を筆頭に、デッキの高すぎるパワーにあぐらをかいていたような構築が多かったものが、規制によってプレイ、構築共に1段階昇華されたことで、その他Tier下位デッキが付け入る隙が殆どなくなってしまったことで、「オノマト」というデッキの盤石さが際立つ結果が出続けていました。

特に規制後1発目のG1Xを優勝した「電子光虫-コアベージ」と「バージェストマ・カナディア」までも採用したコントロールプランを兼ね備えた新「オノマト」は、シーズン終盤に至るまでテンプレとして定着するほどの完成度を誇っており規制の影響を感じさせないパワーを持っていました

この傾向は特にマッチ戦で強く出ており、メイン戦だけなら「オノマト」と勝負できるデッキはいくらか存在するものの、サイドデッキを用いたゲームでは「オノマト」の高い再現性と対応力についていけるデッキは存在しなかったため、異常なまでの1強環境を作り上げていました。

基本的な環境デッキに対しては、「サンダードラゴン」以外の全てのデッキに有利をつけることが可能であり、今シーズンの主役となった最強のデッキです。

サンダードラゴン(Thunder Dragon)

「オノマト」の対抗馬となっていたのは、前期から変わらず「サンダードラゴン」です。

プレイや構築が適切でない「オノマト」には「百雷のサンダー・ドラゴン」を絡めたリソースゲームから妨害を剥がし「混源龍レヴィオニア」を通すことでゲームを取得でき、7-3程度の有利マッチを見込むことができたデッキでしたが、「オノマト」側の構築、プレイの変化によってその優位性は徐々に失われつつありました。

実際、KCGT決勝時点では「サイクロン」をベースにした「オノマト」相手ですら、どこまでいっても6-4程度の有利しかつかず、「禁じられた聖槍」ベースの構築には、55vs45程度の微有利程度しかつかないデッキという評価に変わっていきました。
「オノマト」側が「サンダードラゴン」に寄せた持ち込みを行っていれば、デッキとしての優位性はほぼないに等しい状態だったともいえるでしょう。

しかも、「オノマト」への対策が現実的ではないと多くのプレイヤーが認識していたため、団体戦ではターゲットにされやすいデッキとなっており、

「オノマト」は流れで何とかするしかないので、「サンダードラゴン」だけは確実に始末する

という方針が徹底されていたことから、1仕事終えても即座に「トラミッド」「ガイア」などを当てられて退場させされる損な役回りだったため、多方面に戦績が伸びにくいデッキだったといえます。

このように、対策のしやすさなどから、目立った戦績を残しにくいデッキではあったものの、十分に強いデッキであったことは間違いなく、今シーズンの2トップの片割れと言って差し支えないデッキでした。

「トラミッド」(Tramid)

今シーズンの3番手デッキだと個人的に考えていたデッキです。

特に、相性のいいデッキを順番に交換していく団体戦のシステム(以後、「サイクル戦」と呼ぶ)において非常に高いパフォーマンスを見込めるデッキであり、中でも対「サンダードラゴン」性能は一級品。

「混源龍レヴィオニア」の直撃にもギミックで耐性を持つため、「サンダードラゴン」側が凄まじいブンでない限りは負けがなく、オノマト以外のデッキとなら互角以上にゲームができるのはその他デッキにはない評価ポイントと言えるでしょう。

「サイクロン」を採用した「オノマト」に弱いという明確な弱点こそあったものの、「サンダードラゴン」メタデッキの中では、その後被せられる「オノマト」に対して最もマシなデッキである、という理由で最も良いデッキであったといえます。

サイクル戦においては、「狩場ハーピイ」が「オノマト」に勝る利点がなく、構成から排除されていたことも環境的には追い風だったといえます。

ガイア(Gaia)

「トラミッド」と役割が被っているデッキです。

その割に、対策カードが引けなければ「混源龍レヴィオニア」の直撃でゲームが破壊され、「オノマト」とのマッチアップはほぼ勝ち目がない、といった形で「トラミッド」と比較した時にいいところを全く見つけられないデッキという評価でした。

これに関しては、当時出回っていたリストがあまり強くないものが多かったが故の評価であり、直近の評価は多少持ち直してはいると考えていますが、これに関しては後々触れたいと思います。

環境的には「トラミッド」と並んで採用歴が多いデッキではあったものの、個人的な評価は非常に低いデッキでした。
ストラクベースで簡単に組めること、トラミッドより取り回しがしやすかったことなどが人気の原因ではないかと考えています。

ハーピィ(Harpie)

かつて「オノマト」と同様に、1強環境を作り上げたものの今では「オノマト」にその座を追われてしまったデッキです。

対罠デッキ性能がとにかく高く、ブン回りはその他環境デッキにも引けを取らない、と多くの利点を持っていたものの、基本的に「オノマト」の下位互換~相互互換としての役割しか持てないデッキであり、「オノマト」を差し置いて使用するデッキではない、という評価で、競技環境では下火になっていたデッキです。

「オノマト」に規制が入ってからは、「狡猾な落とし穴」を扱えるという点でいくらか差別化を図ることはできましたが、それでも使用者数が回復するほどの魅力を持ち合わせることはありませんでした。

これに関しては、「オノマト」が万能に強すぎたのが悪いとしか言いようがありません。
これは、「ハーピイ」に限らず、「リゾネーター」「鮫の領域」「ガイア」など「ミッドレンジパッケージ」(※)を扱うデッキ全般に同じ評価が下されていたので、その他大勢と比較するとまだ相互互換になりえただけ良いデッキだったといえます。

「ミッドレンジパッケージ」(Midrange package)

「月の書」「サイクロン」「狡猾な落とし穴」などの汎用性の高いカードをひとまとめにした総称。

少数の枚数で完結するギミックデッキにこの「ミッドレンジパッケージ」を搭載することで、大体のデッキはミッドレンジデッキとしてひとまず完成する。

月光(Lunalight)

「月光舞剣虎姫」(サーベルダンサー)の対象耐性&高打点を押し付ける、もしくは、「月光舞猫姫」(キャットダンサー)からのワンショットの2通りの勝ちパターンを持つ融合コンボデッキです。

特に「サーベルダンサー」の対象耐性は特定デッキを1枚で詰みまで持っていくことができるほどの制圧力を誇っており、今シーズン、シングル戦に限った話とはいえ、ほぼ唯一「オノマト」に対してメインデッキに強い勝ち筋を有していたデッキといえます。

しかし、「オノマト」に最低限強いという特性を持っているものの、その他環境デッキに軒並み弱いという致命的な弱点を抱えていたため、競技環境では一切表立って顔を出すことはありませんでした

「ガイア」に対してだけはある程度の優位を持っていましたが「ガイア」自体が別段評価の高くないデッキであるというのに、そこへ優位を持つことが何になるのか、といったところです。

このように、存在を観測できていたのは、団体戦における対「オノマト」用のストッパーとしての役割程度であったことから、世間の認知度はあまり高くないデッキだったのではないかと考えています。

当時のTier表

ここまでの情報を整理して環境を整理し独自のTier表を作成すると以下のようなものとなりました。
今後はこれをベースに調整を進めていくこととなります。

Tier1
オノマト(Tier0)、サンダードラゴン

Tier2
なし

Tier3
トラミッド、ガイア、ハーピィ、月光

調整の始まり-大会へのアプローチ

さて、ようやく調整期間の幕開けです。(恐ろしいことにここがスタート地点です)

前述の通り、環境は、オノマト>サンドラメタ>サンドラ>オノマトといった3すくみを基本とした相性構造であり、中でも、オノマト、サンドラが抜けて強い2トップ環境です。

この環境予測に決勝参加者の多くは大きな悩みを抱えていたはずです。

何故なら、KCGT決勝ステージは3種類のデッキを持ち込むゲームシステムであるため、デッキパワーの高い順に脳死で持ち込み候補を見繕ったとしても、3デッキ目は2トップから1段階デッキパワーの劣るデッキの持ち込みを求められるからです。

更に2トップの片割れである「サンドラ」は、常に一定確率で事故を内包しているデッキであり、安定性に欠ける上に、その他サードデッキ候補となる「トラミッド」「ガイア」にギミックが完全に不利であるという問題点も抱えていました。

そのため、そもそも脳死で2デッキまでを決定する、ということすら難しい環境となっていました。

ここから、参加者が共通して持っていた選択肢は、「オノマト」をファーストデッキに据えた上で、可能な限り強いセカンドデッキ、サードデッキを調達することだったといえます。

つまり、この調整録は、「オノマト」以外のセカンドデッキ、サードデッキを探すための調整録と読み替えていただいても良いかもしれません。

こんなことを言っていますが、あまりにも想定よりも文量が膨らんでしまったことから、「セカンドデッキ」以降の調整は、続編の内容となっております。
ご容赦ください。

ファーストデッキ選択と調整過程

上述の理由から、ファーストデッキは「オノマト」で決定です。

「オノマト」以上に信頼の置けるデッキは、如何にプールの広くなったデュエルリンクスといえど存在しないため、ここまでは迷う要素が一切なくこの選択は最早必然といってもいいでしょう。

また、ここまでの解説から伝わるかもしれませんが、持ち込みデッキから「オノマト」を外すという行為は、基本的に自殺行為であり、優勝を目指すためには行ってはならない行為だと考えていました。
そして、その心は結果を見た上でなお、一切の変化はありません。

このように「オノマト」を持ち込むことまでは確定していましたが、「オノマト」をどのような形にチューニングして持ち込むのかは本大会の1つ目のキーポイントとなると考えていた部分です。

参加者がほぼ全員「オノマト」の持ち込みを行うことは想像に難くありませんでした。
だからこそ、全員が持ち込む「オノマト」に明確な役割を持たせて持ち込むことには意味があったと感じています。

テンプレの「オノマト」のリスト

新環境が始まってから「オノマト」のテンプレとなっていたのは、本戦出場選手である「翔太プロ」こと、「み・さ・か」選手が運用していた下記のリストです。

https://duellinksunion.com/?p=10341より引用。

12枚の「オノマト」カードに、3枚の「禁じられた聖槍」、3枚の「月の書」、2枚の「バージェストマ・カナディア」の8枠で自由枠を固めたこの20枚は、多くのトーナメントで優勝し、構築の正解が目まぐるしく入れ替わりがちなカードゲームの中でも珍しく、完全に「今期の答え」とされていた構築です。

中でもリストの生みの親である「み・さ・か」選手は、このメインリストを一切変えないままに、120人規模のトーナメントを3週連続優勝を含み、今シーズン多数の優勝を記録しており、多くのプレイヤーがこのリストに倣う形で環境は変化していきました。

このように、「オノマト」を調整、対策するにあたってこのリストを紹介することは避けて通ることはできず、「聖槍」をベースとしたこのデッキリストが、非常に実績とパワーのあるものであることは火を見よりも明らかなのですが、私はこのリストは本戦の持ち込みには適さないと考えていました。

そこを掘り下げて解説することこそが、「オノマト」の調整の醍醐味であったといっても過言ではありません。

「聖槍」ベースの持ち込みの問題点

「禁じられた聖槍」をベースとした構築は、実績とパワーを兼ね備えたデッキリストである、というのは先ほども述べた通りです。
しかし、このリストには幾つか問題点があると考えていました。
その中でも最も大きなポイントは、そのリストがマッチ戦に向けて最適化されたリストであるということです。

マッチ戦は、サイドデッキを用いたゲーム性であるため、シングル戦よりも参入可能なデッキタイプが限られます。
更に、今シーズンは「オノマト」のサイドデッキ、及び「ドドドドロー」があまりにも強すぎたせいで、Tier下位デッキがマッチ戦に参入する機会は殆どありませんでした

そのため、大会用の持ち込みは、「オノマト」「サンドラ」との当たりのみを想定し完全に寄せ、サイドデッキもほぼそこに特化させ、残り2枠程度を「サイクロン」に充ててローグデッキの対策枠とする、という方針が取られていました。

実際、その保険的な方針だけで多くのデッキを環境から追い出してしまえたほどに「オノマト」はマッチ戦では支配的なパフォーマンスを見せていたのです。

しかし、KCGT決勝ステージはもちろんマッチ戦ではありません、そして、スイス予選のようにラウンド間での札の入れ替えもできません。

また、1度提出したデッキは、試合の勝敗に関わらず同ラウンドでは使用不可能という制約がかかります。
つまり、チームのエースデッキ足る「オノマト」は、1発勝負のシングル戦にも関わらず、その1本で勝ち切らなければならない、という制約があるのです。

ここで、1発勝負で勝たなければならない、という制約は他のデッキも同様に課されているから問題ないと考える方もいるかもしれません。
しかし、その重みは「オノマト」とその他デッキとでは全く違います。

なぜなら「オノマト」は環境で最強のデッキであり、チームの貴重な勝ち柱だからです。
そして、それを下手な形で失ってしまうことは、チーム全体の勝敗を左右しかねない問題点となるからです。

つまり、「オノマト」はその他デッキと違い、選出したからには「必勝」が掲げられている非常に責任の大きなデッキである、ということを理解していただいたうえで次の話に移りたいと思います。

エースデッキの義務と責任

「オノマト」を選出した試合は勝たなければならない、という話が出たことから、今大会は

「オノマト」が1勝を挙げるから、残り2デッキでどちらかが1勝する

ことがチームの基本戦略となることが分かっていただけるのではないかと思います。

この時、「オノマト」が「サンダードラゴン」及び「オノマト」ミラーマッチに負けてしまうことは(非常に痛手とはなるものの)問題ではありません
これらは、万全の状態でマッチアップしたとしても「必勝」を掲げることは不可能だからです。

真に問題となるのは、「オノマト」が2トップ以外のデッキに負けること、つまり、「サードデッキ」に負けることです。
これを許してしまえば、持ち込みの優位性はほぼなくなってしまう上に、相手の「サードデッキ」に仕事を与えることとなってしまい、勝ちの目が一気に消えてしまいます。

そのため、2トップ環境でありながらも、「オノマト」が真に求められていたのは、2トップ以外には「必勝」、2トップには五分という持ち込みを行うことだったといえます。

そして、「サードデッキ」への負け筋となってしまうカードの筆頭を突き詰めた結果、それは「禁じられた聖槍」をベースとした構築であると考えるに至りました

KCGT1stステージのスイスドローでも「禁じられた聖槍」及び罠カードを主体とした構成の「オノマト」には「トラミッド」「メガリス」「ハーピィ」などが構築の優位を取って勝ち抜けてきたわけであり、本戦の参加者には正にその当事者も存在しています。

これらのデッキに負け筋を作らないためにも「禁じられた聖槍」ではなく、「サイクロン」を主体とした持ち込みを行うことがチーム全体の勝率を引き上げることに繋がると考え、「サイクロン」をベースとした構築の調整を行うことを決めました

2トップへの当たりを意識するにあたって、「サイクロン」自体は重ね引きした際に「サンダードラゴン」戦では負け筋になりかねない、という問題点を抱えていたのは事実です。

しかし、そもそもが「サンダードラゴン」というデッキ自体が安定性からかけ離れた構築であることから、持ち込みを嫌うプレイヤーが一定数いると考えたこと、そして、その代役に選出されるのは必然2機目のサードデッキであること、これらを考えた際に複数枚の「サイクロン」採用はそこまで問題となることはないと考えました。

また、実際に対戦相手が「サンダードラゴン」を編成していたとしても、マッチングさせなければ問題はありません。
「サイクロン」入りの「オノマト」を目当てのデッキとマッチングさせられる、という強い自信があったため、複数枚の「サイクロン」の採用に踏み切ることができました。

実際の持ち込みリストと細部調整

実際に当日持ち込んだリストは上記のものとなります。
前述の通り、「サイクロン」をベースとした構築を行っています。
以下、細かい補足説明を加えます

12-2-7ラインの21枚

テンプレとされていた「オノマト」のリストは「オノマト」12枚、「魔法罠対策枠」に3枚、「妨害枠」に5枚の12-3-5の20枚で構成されていますが、このリストは「魔法罠対策枠」が「サイクロン」2枚止まりの2枠となっており、「妨害枠」は通常より多くの7枠を取っている12-2-7の21枚の構成となっています。

今シーズンの罠を厚めに、ギミックを薄めに取る「コントロールオノマト」の方針が9-2-9程度の配分であったことなどを鑑みると、私の配分はちょうどその中間部分であることが伝わると思います。

「オノマト」の構成で妨害を厚めに取ったのはミラーマッチを意識したからです。

ミラーマッチの負け筋は先攻の妨害数が少なく、突破からマウントを許すこと、後手の妨害数が少なく「聖槍」に弾かれてゲームセットといった単調なものが存在するため、その負け筋を消すことを重視して構築を進めました。

特にアドバンテージゲームとライフレースが複雑に入り乱れる「オノマト」ミラーマッチは、先攻後攻、そしてお互いのハンド次第で求められる役割がかなり変わるため、対戦相手のアプローチに対してどちらが攻める側なのかをお互いが問われることになりがちです。

この時、ざっくりとですが、受ける側には妨害枠が必要となり、攻める側には、ギミックカードとバック干渉が必要となります。
この観点で、替えが効かないのは妨害カードであり、なくてもなんとかなるのはバック干渉です。

ギミックが正常に機能していれば、相手の妨害カードはギミックを回してライフを詰めることで実質的に吐かせることができますが、妨害だけはエクストラから繰り出す「フォトン・ストリーク・バウンサー」以外に調達手段がありません。

また、ギミックが正常に機能することも重要です。
いくら妨害があっても相手の攻めの前に吐かざるをえず、一方的に消耗してしまうからです。
そのため、相手に最低限のプレッシャーを与えられるだけの展開要素がなければ、罠も有効には機能しません。

このように「オノマト」ミラーマッチで最優先されるのは、攻めに行ける「ギミックの成立率」、次点でそれらのバリューを上乗せする「妨害枠」、あった方がいいが場面ごとにパフォーマンスがブレるのが「魔法罠対策枠」、という風に考えており、前者2つを高いバランスで共存させることが強い「オノマト」であると考え、重めのミッドレンジ構成を持ち込むに至りました。

特に、私は「サイクロン」での持ち込みを考えていたことから、「禁じられた聖槍」と違って素引きしたそれらを妨害に組み込むことができなかったため、妨害枠の点数がより高めにつく結果となりました。

それぞれの確率を計算すると、21枚中12枚の「オノマト」枠は、「ドドドドロー」を含めずとも、先攻でランク6が成立する確率が73.7%と最低限の数値を持っています。

また、構築内に7枚の妨害は、後手を取った際に、「ドドドドロー」を考慮しなくても2枚以上妨害を引ける確率が56%とそこそこ信頼できる数字となっており、ミラーマッチの後手で1妨害しかない、という状況は1/4程度に納まったため、この程度を妥協点としました。

実際には、選出でミラーマッチは避けることができるため、問題が起きるとしてももう少し低い確率です。

また、先攻で有効牌が2枚あると「フォトンストリークバウンサー」ではなく、「セイクリッド・トレミス・M7」を成立させてアドバンテージゲームを行うことができるため、先手後手のアドバンテージ差を覆しやすくなります。

この先攻2妨害+「トレミス」の構えはミラーマッチに限らず殆どの対面を圧殺できる今シーズン屈指の構えだったことからも、妨害枠を厚くとる方針自体は悪くなかったと考えています。

ミラーマッチで「必勝」を掲げることが困難とはいったものの、別にミラーマッチで勝つ努力を放棄したわけではありません。
むしろ、「サイクロン」を採用することがミラーマッチでの負け筋とならないように最大限の注意を払って調整を進めていきました。

また、2妨害「トレミス」にも通じる部分ですが、ブン回ったオノマトに対抗できるデッキはブン回った「サンダードラゴン」程度しか存在しないため、ブン回りの方向性を間違えずに構築を行うことが重要だったと考えています。

ギミック+罠の動きだけで大半の対面をアドバンテージゲームで屠ることができるため、それらが決定打にならない相手に対して、追加の決め手として「サイクロン」を扱う、といったコンセプトだと考えていただけると分かり良いのではないかと思います。

ドドドドワーフGGの不採用

ミラーマッチのリソース勝負、及び、1ターンで「№70デッドリーシン」を2体並べる動きに必要となるカードです。

構築内にあると、トータルでは勝ち筋が増える非常に重要なカードですが、ドドドドローを絡めなければ弱い点、中盤のトップデックで打点換算できず、浮いて負け筋となる点、「ドワーフ」採用がスキルのサーチ先を歪めた結果、後続の「ガガガヘッド」と噛み合わない結果論の負けが発生する可能性等々、勝ち筋と負け筋を併せ持つ非常に評価に困るカードとなりました。

最終的には、1ターンでランク4を2体並べることの優位性が採用可否の分岐点であったため、「デッドリーシン」を2体並べる必要性が最も高いマッチアップである「トラミッド」と集中的に調整を行った結果、2枚の「サイクロン」と2枚目の「トレミス」で十分相性差はキープできており、なによりも「先攻であるかどうか」がそのマッチアップのキーポイントであることが判明したため、「ドワーフ」なしでも問題がないと判断し解雇に至りました。

マッチ戦では必須級のカードだと考えています。

ドドドドローの3枚目の採用

「ドワーフ」を削ったことで枚数調整に追われた枠です。

直近までは、「ドドドドロー」2枚の20枚も最終提出案にあったのですが、タイトなリソースゲームとなる対面で、トップデックが「オノマト」カードでなければいけない場面(ヘッドに変換できるかが超重要)に幾度となく遭遇し、20枚の構築では初動問題をクリアできても中盤のトップの受けを作りきれないないと判断したことで3枚目の採用に踏み切りました

この枠に関しては最後まで悩ましい決断でした。
実際、私の敗退が決定した「Zeeta」選手との「オノマト」ミラーでは、「ドドドドロー」を引くも展開ができないまま押し切られて負けになってしまったことから、負け筋にもなってしまった枠です。

ガガガボルトの2枚目の採用

先攻「トレミス」プランを強く補強するための採用です。
特にビートデッキのミラーマッチでは先攻「トレミス」から「ガガガシスター」を拾い上げる動きによるアドバンテージ差を広げる動きが非常に強く、決まればそれだけでゲームを決めることが可能です。

また、構築内から「魔法罠対策枠」を削った観点からも、バックを処理できるカードは重要なものでした。

他にも、対「サンダードラゴン」戦においては、アドバンスセットされた「起動要塞トリケライナー」を直接除去できるという点で有用なカードであり、デッキ内の「オノマト」カードの母数を担保しつつ、素引きしたとしても様々な場面で腐りにくい非常に優秀なカードだったと考えています。

「トリケライナー」の守備力2800は、「オノマト」側の基礎打点である2700を超えていたことから、下手なカードより処理が難しかったため、「ボルト」で焼いてしまうのが手っ取り早く、「ボルト」の温存、もしくは素引きは結構重要な要素となっていた。

「オノマト」において「コアベージ」が積極的に運用されるようになった理由の1つでもある。

ガイアドラグーンの不採用(その他エクストラデッキ事情)

正直8枠目があったら絶対に採用していた枠。

交換候補は「トレミス」の2枚目、「デッドリーシン」の2枚目、「コアベージ」

「トレミス」は、先攻「トレミス」からのアドバンテージゲームプランをリスク少なく行うためにはエクストラに予備が必須なため却下。

デッドリー2枚目は、2枚目の主力ランク4がないとエクストラから出せる打点要員がなくなり、デッキのリソースと決定力がなくなることから却下。
また、この観点で「エクスカリバー」と悩むもリソースの観点では「デッドリーシン」の方が決定力、継続的な脅威判定、打点共に高めに見積もることができたため、「デッドリーシン」2枚目で決定。

「コアベージ」と「ガイドラ」はどちらも広い範囲に有効だが、「コアベージ」の方がより広く、強くゲームを取れると考えて優先。
こういった流れで最終的なリストからは外れました。

元々、選出で「サンドラ」を避ける前提での持ち込みであったことから、対「サンドラ」の備えは最低限に備えるの方針だったため、「サンドラ」へのガードを多少下げた持ち込みとなりました。

「禁じられた聖槍」の不採用

本来なら、どうしても採用したかった枠であり、本記事の最も重要な要素の一端を担う構築理論です。

とはいえ、デッキは別に3枚目の「魔法罠対策枠」を欲してはいませんでした。
実際に、デッキはその枠を欲していなかったので、最終リストからは外れたカードです。

では、何故、そんなカードを構築に入れたがったのでしょうか?

答えをいいますと、私がこのリストで「禁じられた聖槍」に求めていた真の採用意図は「観戦への対策」です。

「オノマト」vs「サンダードラゴン」戦では顕著になりますが、デッキ内の「聖槍」の有無は、相手のモンスターに不用意な殴りを仕掛けてよいかの観点で非常に重要な項目です。

特に先攻で立てた「トレミス」に後手から「雷劫龍-サンダードラゴン」がノーリスクで殴ってくるのかどうかは妨害温存の観点で天と地ほどの差があります。

そして、世界大会には(参加者視点では迷惑なこと、この上ないことに「観戦機能」が実装されており、場合によっては公式配信などに取り上げられる可能性もあります。

この時、複数のラウンドで配信に乗っていて、私自身のデッキリストがほぼ割られていた場合、対戦相手が「禁じられた聖槍」のケアを切って行動してくることを牽制する、もしくは、実際に突っ込んできたときにしっぺ返しを食らわせることができるようにするために、構築内に1枚は見せるためのカードが必要だと考えていました

このように、「聖槍」をカードとして運用したいというよりは、対戦相手にリスクを負わせるための見せカードが1枚欲しかったというのが正しいと言えるでしょう。

ここで勘違いしてほしくないのは、「観戦」という行為自体には問題がないと考えているということです。

確かに本大会では、シード選手とそうでない選手の間には1ラウンド分の情報差があり、1勝だけにとどまらない凄まじい格差を抱えた上でのゲームでしたが、「観戦」は勝者の権利であり、シードに組み込まれていた選手への相応の見返りだとすら考えています

実際、自分もラウンド間に対戦相手のログから構成を予想して、投げ順を決めるなどは行っていいましたし、まさか、それをアンフェアだといえる人はいないはずです。
ルールの範囲内で情報を集めて勝ちに行くことの方が遥かにフェアであると言えます。

重要なのは、「観戦」された上でなお勝てる持ち込みをすることです。
そして、それを可能にするのは、知っていたとしても対応出来ないようなパワームーブの叩きつけが最も簡単であろう、と考えていました。

「オノマト」に限らず、今回のデッキ選択では「相手が構成を把握していた上でなお勝てない強さ」を求めてデッキ提出をしています。
王道こそが強さであることの証明をしたかったとも言えます。

妨害枠7枠の選定

今回、妨害枠7枠に選んだのは「月の書」2枚、「バージェストマ・カナディア」3枚、「底なし落とし穴」1枚、「デモンズ・チェーン」1枚の計7枚です。

リスト再掲

7枚の採用で後手の必要妨害数をクリアすることができる、という話は事前に出していましたので、ここからは各種の選択過程を簡潔に述べていきます。

まず、テンプレ構築にあった5枠のセット妨害は、オノマトミラーにおいて非常に重要かつ「コアベージ」との相性も良いと文句のないバリューだったため、これらをできるだけ取り入れたい、というところから構築は始まりました。

体感として、「月の書」「カナディア」計4枠以上を含む質の高い妨害を採用することが重要と考えていました
これは、裏を返せば、2枚までならそれらのカードを別のデッキに融通することができる、と言い換えられるということでもあります

この「融通」の対象となったのは、「狡猾な落とし穴」を有しており、罠以外の妨害を強く求めていたセカンドデッキ「ハーピィ」です。
細かい調整経緯については、「ハーピィ」の項目で触れていきますが、「ハーピィ」を強く扱うためには、「狡猾な落とし穴」に加えて「月の書」を含む数枚の質の高い妨害が必須でした。

「ハーピィ」を強く組み上げたいが、必要以上に「オノマト」のデッキパワーを落とすことはしたくない、という考えから、両者のデッキ間でパーツを譲り合った結果、最終的には「オノマト」には2枚の「月の書」と3枚の「カナディア」が残りました

オノマトのデッキパワーを過信するならもう1枠あげてもよいくらいでしたが、「強いデッキをできるだけ強い状態で使う」ことこそが、このフォーマットで求められていることだと考えたため、「ハーピィ」が望むパワーレベルに達していたことから無理に融通させる必要もないと判断しました。

結果論ですが、「ハーピィ」側の1枚の「月の書」は「オノマト」側の「聖槍」と同じく「ケアが切られやすい」カードになっていたと思えばこの配分は悪くないものでした。

実際に本戦では「ハーピィ」は3度の選出中、2回「月の書」を引き込んでプレイしており、良いところだけを掬い上げることができた形です。

残り2枠は様々なカードを交換して試して言った枠です。

「底なし落とし穴」は、元々2枚採用からスタートした枠で、「オノマト」ミラーマッチでは1枚で決定打になれるだけのポテンシャルはありました。

しかし、後手で先置きの脅威を受けられず、2妨害の条件をクリアできない、「ハーピィ」の「スワローズネスト」で実質機能せずに処理されかねない、「レヴィオニア」成立後に残ったカードがこれではライフを適切に守れない、などリターン同様にデメリットもありました。

結局、その他デッキとのマッチアップを想定すると増やすリスクがあったため、「底なし落とし穴」は1枚のみに留め、代わりに先置きの脅威、及び「レヴィオニア」に対応できる「デモンズ・チェーン」と差し替える形でリストが完成しました。

これらもベクトルの違う対応を要求できるカードを1枚ずつ差し込んだことで「観戦」された上でなお対策が難しいデッキとなっており、当初の目的としていたデッキ構築はなされたと考えています。

このように構築を進めたわけですが、「オノマト」を扱うのとは別にして、「月の書」の必要性を見極めてスプリットを行うに至ったわけですが、同様のことをしたプレイヤーは現状観測できていないため、似たような考えのある参加者がどれほどいたのだろうか、という疑問は個人的には非常に興味深い内容となっています。

その他の採用候補

・フレンドリーファイア

前も触れるサイクロンとして採用を行った。
ミラーマッチでは感触はよかったものの、その他対面と条件次第で浮き効きの差が激しく、特に中盤戦のトップ勝負で弱かったり、リストを把握されていると1枚だろうとケアしての詰めが簡単な部類のカードだったため、本戦参加者の対応力と「観戦」の影響を鑑みてボツ。

この枠は「底なし落とし穴」に引き継がれることとなった。

・天罰

最初期に構想だけはあったものの、初動の「シスター」に撃つという行為があまり強くない上に、先攻を取った時のリソース管理が非常に難しくなってしまう。
その上、「サイクロン」「ハーピィの狩場」「レヴィオニア」などに無力と、どう考えても運用できるスペックではなかった。
ヘッド3枚の時に諦めたプランが規制後に使えるわけもなくボツ。

・波紋のバリア-ウェーブフォース

「観戦」に弱く、多くの対面でケアが可能。
正に一発芸の代表格だが、1勝と引き換えに後続の勝利が絶望的になるため採用は見送った。
見せカードとしては優秀だがそれだけ。

・ガガガウィンド

アド損カードであり、基本的には「ハーピィ」対面でしか欲しくないカードという認識。
「ハーピィ」は極力避けてマッチアップを組む想定だったことや、「サイクロン」ベースの持ち込みを行ったことからボツ。
調整過程で「ハーピィ」と打ち込みをして対応を揃えていたことも大きかった。

まとめ

このような形で、「オノマト」の調整経緯は一旦終了とします。
今後は必要な部分が増えたらまた追記していこうと思います。

本来、全て一気に書ききってしまうつもりでしたが、想定以上に書きたいことが多くなってしまったので、分割して随時出していこうと思います。

次回以降はセカンドデッキ、サードデッキの調整過程を記していこうと考えています。
面白ければ、Twitterの方など、拡散していただけると喜びます。

それでは皆さん、またお会いしましょう。

 

コメント

タイトルとURLをコピーしました