[遊戯王DL]KCGT2021本戦決勝ステージ調整録②セカンドデッキを探せ[世界大会]

KCGT2021

みなさん、こんにちは、ATMです。
今回は前回までに引き続き、KCGT本戦決勝ステージの調整過程の後編をお送りしていこうと思います。

それでは参りましょう。

前回までのあらすじ

世界大会に持ち込むために3つのデッキを探すこととなったATM。
ファーストデッキにオノマトを選択するまでは順調だったものの、残り2つのデッキ選択に行き詰まってしまう。

苦難の道のりとなるセカンドデッキ、サードデッキ探しの旅が始まる。
(ようやく調整が本格的に始まったともいう)

セカンドデッキの候補探し

前回の記事でも述べましたが、本大会のフォーマットにおいて最強のデッキは「オノマト」です。
そのため、宗教上の理由でもない限り、「オノマト」を構成から外すのは自殺行為なので「、オノマト」の使用は確定した上で調整をスタート。
ここからは残り2デッキを選ぶ作業に入ります。

セカンドデッキ選定に際して、各デッキを一通り試して回したり、サンプルリストを制作してみたりとしていたものの、調整に本腰を入れたのは、次の画像の通り、デッキ登録日の10日前のこと。

画像は一緒に調整してくれた、北陸YP連合「天竺」から抜粋

当時のセカンドデッキ、サードデッキの候補は

サンドラ、ハーピィ、ガイア、トラミッド、リゾネーター、TG、月光、バレットネオス、青眼、WC、炎王

更に調整期間の残り5日ほどのタイミングで罠型「デルタアクセルTG」(以後、罠型デルタ)も使用候補に加え、各デッキの持ち込み可否を検討していました。

この時、セカンドデッキ、サードデッキを選ぶ際に重視していたのは、

①2トップをブレイクする目がどれくらいあるのか?
②サードデッキ対決においてどれだけ優位性を保持することができるか?

この2点が非常に大きな着目点となっていました。

以下、それぞれのデッキの所感と調整結果を簡潔に述べていきます。

サンドラ

デッキパワーは文句なしだが、使用者の練度に不安あり。
練度以外に、デッキ本来の事故率もついて回るため、あまり積極的には採用したくはない。

一通り触ったものの、乗る船がなくなったら乗る程度の評価に留めて、その他デッキの確認を優先。

コントロールハーピィ(30枚、狡猾入り、サイン1~2)

全体的に悪くない感触であり、デッキ本来のパワーに可能性は感じられた。
しかし、「月の書」が足りないことから、デッキ内の妨害が薄くなりがちであり、質の高い妨害の調達に奔走することとなります。

足りない妨害枠を埋めるために、「狡猾な落とし穴」を抜き、「天罰」「サンダーブレイク」「因果切断」を積極的に採用する方針も考えたが、その場合はコスト役の「ヒステリック・サイン」「ハーピィ・ハーピスト」が上手く噛み合わなければ自滅の負け筋を作りかねないという問題が膨らんでいくことになる上に「天罰」以外は「禁じられた聖槍」に弱いという環境的な弱点を抱えていました。

これらのことより、「オノマト」「サンダードラゴン」に強いわけでもないのに事故を抱えているということで、「優勝を目指す」という観点から、「30枚ディスカード罠偏重」の方針は却下。

特に「サンダードラゴン」相手の勝率が致命的であったため、現時点では有力なサードデッキ候補止まりであり、とても優勝を目指す構成のセカンドデッキではないという評価になりました。

ただ、調整中で「狡猾な落とし穴」を引けたときのデッキバリューは凄まじいものがあったため、そちらの方針を強く押し出す方針を目指して、別のプレイヤーに調整を委託し一旦は触るのをやめます。

トラミッド

感触かなり良し。

有力なセカンドデッキ候補の「サンダードラゴン」とのマッチアップに優れるという観点と、多くの対面に先攻ゲーを仕掛けて取れることから、早期はかなり積極的に持ち込みを考えていた枠。

しかし、「サイクロン」を採用した「オノマト」とのマッチアップを極端に嫌うこと、同じサードデッキ候補として有力な「ハーピィ」「ガイア」にマッチアップ相性がそこまで芳しくないことから、次第に持ち込みに不安を覚えるようになります。

参加者の持ち込み、及びその構築によって対応するべき範囲が非常に増えてしまい、これに関しては自身の選出だけで受けきれる問題ではないと考えたことから、構築面、プレイ面の負担を考えて保留止まりの位置に置かれました。
最終的に「狡猾な落とし穴」を「ハーピィ」に取られたことで完全に舞台から降りることとなりました。

ガイア

感触が非常に悪かったデッキです。
元々評価が低かった上に、回せば回すほどに評価が更に低くなっていくという、ある意味すさまじいデッキでした。

これに関しては、世に出ているリストの大半(「聖杯」偏重、「サイクロン」採用等)が弱いことが問題だと考えていたため、まずは自分が納得のいく「ガイア」を組み上げるところから調整がスタート。

絶対使うことはないと思っていたにも関わらず、「月の書」「バージェストマ・カナディア」「デモンズ・チェーン」といった汎用パーツをふんだんに使い、自分の考える最強の「ガイア」を構築すると、勝率も次第に上向いていき、中々悪くない、という感触にまで評価は回復します。

イメージはこんな感じ

しかし、フルパワーでもって「そこそこ」の評価のデッキに貴重な「月の書」その他のパーツを大量に譲ることができるわけもなく、優秀な汎用パーツを抜かれた「ガイア」は元の「聖杯」デッキに成り下がってしまいます

後にセカンドデッキが決定した段階では「狡猾な落とし穴」すらなくなっていたため、さながらピックに失敗してメインデッキに入れられるカードが足りなくなったドラフトデッキ然とした姿に変わり果てたことから、デッキの最大値を見極めた上で、丁寧な却下となりました。

まるで失敗したドラフトのようだ(まだ18枚)

同時期に環境の閉塞感に飽きがきたからか、その他のプレイヤーもこぞって罠の厚い「ガイア」の調整に手を出していたのは中々面白い事象だったと記憶しています。

リゾネーター

感触は悪くない。(ただしサードデッキとしての評価)

初動の安定感と、構築自由さからくるメタ性能が魅力的です。
特に「コズミックサイクロン」「邪帝ガイウス」を無理なく採用できる点はサードデッキ対決において非常にストロングポイントとなる要素であり、明確に評価されるべきポイントでした。

反面、「オノマト」「サンドラ」の2トップに明確に不利が付くこと、先攻後攻でパフォーマンスが大きくブレること、採用できる妨害が型落ちしていることなど、サードデッキが保有していた問題を一通り保有しており、殆ど解消できていない問題点はありました。

対「サンダードラゴン」においては「D-HERO Bloo-D」を3100以上の打点にして、「神の忠告」を構えることで突破をさせず、LOまで持ち込む、「エンジェルO7」でイージーウィンを狙う、といった対策ができましたが、その他の項目までは解消に至りませんでした。

その結果、有力なサードデッキ候補として最終日まで保留されることとなります。

TG

評価はあまり高くありません。

「シンクロフライトコントロール」軸、「セット!デルタアクセル」軸(以後アグロデルタ)、共に2トップへの当たりが悪く、テーマとして「月の書」及び罠デッキに弱いという弱点があります。

アグロデルタは「TGハルバードキャノン」の早期成立で、「サンダードラゴン」となんとか勝負ができないこともない程度のポイントはあるものの、王道構成(「オノマト」「サンドラ」「その他」)の大半に不利が付くテーマという時点で持ち込む気は起きませんでした。

月光

評価はそこそこ。

「オノマト」にだけは最低限の勝率が出せるというデッキですが、その他のサードデッキ候補との対決にも弱く、2トップ片割れの「サンダードラゴン」とのマッチングはほぼ必敗といっていいほどです。

相手の構成内に仮想敵が存在することはほぼ確定ですが、「オノマト」を狙ってマッチングさせられるという保証は全くない上に、本戦レベルの参加者には一発芸は通用しないことから、デッキの優位性はあるが、持ち込むのは多分にリスキーという評価をしていました。

特にデッキ構成上、スキル「デスティニードロー」及び各種優秀な手札誘発を一定数必要とする持ち込みとなるため、有力な持ち込み候補である「サンダードラゴン」と大きくスロットを食い合うデッキとなっていました。

そのため、「オノマト」への最低限の優位性を担保しつつ、その他対面への当たりを意識するなら、「サンダードラゴン」で十分という評価となり、持ち込み候補からは外れました。

しかし、「ふくすけ」選手を筆頭に持ち込みを行う選手は一定数いると考えていたことから、セカンドデッキ、サードデッキ選択は「月光」の持ち込みを後悔させるというコンセプトの下、進められたため、デッキ選択、環境予測ではかなり重要なウェイトを占めていたデッキでもあります。

バレットネオス(ファイアーリロード)

評価は最悪に近いものでした。

2トップの余りもので組めるわりにはデッキの体を為していることが魅力的だったため、有力候補の取りこぼしをしないためにも、あらためて調整を行いましたが、その結果は散々なものでした。

特に過去のトップメタの「バレットネオス」との大きな差別点はスキルの違いです。
スキル「ファイアーリロード」は手札の炎族モンスターを全てマリガンできるスキルですが、デッキの中にマリガンから引いて強いカードが「召喚士アレイスター」2枚程度しか存在しないため、1マリでは決定打に欠ける、という凄まじい弱点を抱えています。

これらのことから、早期に「ヴォルカニック・バレット」を墓地に落とし、ターンを跨いで手札に2枚の「バレット」を集めて2マリを行うのがデッキを強く回すための条件となりますが、その場合、手札に加えた「バレット」を各種手札コスト罠に充てるという従来のバレットネオスの強みであった回し方が一切できません

そのため、「バレット」を温存するためにも、手札コストを要求しない妨害を必要とするデッキとなってしまいましたが、その際の有力候補の「月の書」などはもちろん「オノマト」その他と争奪戦になっているため、このデッキに譲ることなどできるはずもありません。

また、そもそもの「バレット」へのアクセスを支えるカードもリミット2の「ネオス・フュージョン」のみと安定性に欠けており、回るまで、回った後の両面から勝利への再現性が低すぎるということで、数戦回しただけで多くの欠陥が発見されボツとなりました

余談ですが、あまりにも「ファイアーリロード」を採用したビートの欠陥が多すぎたことから、先に低めに評価をつけていた「サイン軸のハーピィ」「ガイア」の評価が無駄に回復するという副次的な効果をもたらしており、調整に気付きと悟りをもたらしました

青眼

感触はアリ寄りのナシ。

「オノマト」に五分の勝率が出せる上に、「ハーピィ」「ガイア」「トラミッド」その他のサードデッキ対決においてギミックが滅法強く、ブン回りが全ての対面に有効であるという点から、苦手が少ないことが評価されるシステムと相まって高めの評価をつけていました。

しかしながら、「サンダードラゴン」に滅法弱く、当たれば必敗レベルのマッチング相性な上にデッキの速度も速くないことから「サンダードラゴン」に事故から立て直すだけの時間的猶予を与えてしまうという弱点を持っており、これはどうしても解消できない問題となっていました。

最終的にブン回りで全対面を破壊できるという前提なら事故と最大値を鑑みても「サンダードラゴン」で十分という評価となりました。

WC

あまり評価は高くありませんでした。

KCGT1stステージの頃から定期的に調整をしていたデッキですが、「オノマト」に非常に弱い上にブン回った「サンダードラゴン」に破壊されるという問題点が解消できませんでした。

更にデッキが持つ弱ハン、及び初動欠勤の事故(いわゆる女子会と緑一色)を考慮すると、こちらも「サンダードラゴン」が比較対象となり、プレイ難度の高さが事故率、勝率に見合わないという理由で却下となりました。

炎王

あまり感触はよくありませんでした。

「オノマト」「トラミッド」「狩場ハーピィ」に明確に不利なだけでなく、各種「手札誘発」とキャラクター「闇遊戯」を取り合うという問題点から、またしても比較対象は「サンダードラゴン」となり、もちろん、そこを押しのけるだけの評価もありませんでした。

各種罠地獄デッキ

評価は微妙。

多くの場合、「オノマト」の先攻「トレミス」コントロールプランには五分程度の相性となり、「サンダードラゴン」とのマッチアップはかなり厳しく、更にその他サードデッキ候補の「ハーピィ」「ガイア」「トラミッド」「青眼」に軒並み厳しいとあまりいい評価はありませんでした。

「罠地獄」を運用するなら「霊獣」でしか実用に耐えうるデッキはないと考えていたものの、費用対効果が悪すぎるためあえなく却下。

本戦での持ち込みは「そらつん」選手を除けばないに等しい枠だと考えており、仮に当たっても問題ないという評価でした。

罠型デルタアクセル

「生存境界」を妨害に加えたデルタアクセルの派生デッキです。
評価は及第点。

当時はリストの研究が進んでいなかったことから分からん殺しが成立しそう、という構成の優位と、「カナディア」以外に専用パーツを要求しないというフォーマット特有の構成メリットで、参加者にとってはそこそこマークされていた持ち込みではないでしょうか?

実際に私も持ち込みを検討しましたが、上手い「オノマト」にはほぼ負けること、先攻後攻でのパフォーマンスの差が激しいこと、「サンダードラゴン」にも結局は不利だと考えていたことから採用を見送りました。

残り時間を鑑みると練習に充てられる時間がそう多くなく、「サンダードラゴン」と比較してどちらに時間を割いた方がトータルの勝率が出るか考えた末に、「サンダードラゴン」に軍配が上がる形となったという経緯もあります。

蓋を開けてみれば評価自体は概ね間違ってはいなかったと考えるものの、対「サンダードラゴン」性能に関しては想定より高めだったかもしれません。

絞り込みとセカンドデッキ決定

ここまでの経緯で、候補者の多くが脱落しました。
残っていたのは「サンダードラゴン」「ハーピィ」「ガイア」「トラミッド」「リゾネーター」「青眼」です。

同時期に、「月の書」をゲットしたから、という理由で「ハーピィ」の調整を引き受けてくれた「人狼餅」が「狡猾な落とし穴」採用の「ハーピィ」を組み上げてくれたということで、それをルームマッチで試運転。

すると、対サイクロン「オノマト」にも拘らず、11-9という数字を記録したことから、薄型の「ハーピィ」の可能性に気づきます。
そこから、数日調整を重ね、サイクロン「オノマト」に五分~微不利、「サンドラ」に微不利、その他サードデッキ全般にスキル「ハーピィの狩場」込みで有利、と求めていた水準に到達。

特にブン回りや「狡猾な落とし穴」を含むとはいえ、「現実的な範囲での2トップへのブレイク性能」を有していたのはその他デッキにはない魅力であり、これ以降は「狡猾な落とし穴」採用の「ハーピィ」をセカンドデッキに据え、対戦相手を意識した細かいチューニングを施し、ひたすらルームマッチをこなしました。

また、この時点で、「狡猾な落とし穴」を筆頭に優秀な汎用パーツは「オノマト」「ハーピィ」で分けあってしまったため、「ガイア」「トラミッド」は使用候補からはずれる事となり、「サンダードラゴン」「リゾネーター」「青眼」の中から、サードデッキに相応しいデッキを選ぶこととなりました

閑話休題-対戦相手の情報収集

各種デッキの最終調整結果に至る前に、対戦相手になると意識していたプレイヤーのお話を先にしておきたいと思います。

事前に分かっていたマッチング事情

今回、当日になるまで、参加者にもトーナメント表は開示されていませんでした。

しかし、KCGT2021予選の結果に応じてトーナメント表を組む、と公開されていたこともあり、実際には、トーナメントは半分公開されているに等しい内容となっていました。

それを裏付けるように、大会参加者の優勝者予想も、KCGT予選の順位でご丁寧に並べられており、それを元に各自がトーナメント表を自作することで初戦、及び、シード選手の割り振りを確認することができました

実際、私も事前に割り振りを把握しており、1回戦が「なかさか」選手、2回戦が「み・さ・か」選手であることを理解し、彼らがどういった持ち込みを行うのかに気を張り巡らし、そして、それに優位をつけるための構築、構成を練っていました。

上記2選手しか挙げていないのは、そこ以外の選手は、別の山であることから誰が上がってくるか読めないことと、2ラウンド分の情報収集があれば十分対策できると考えたことから、余分な手間を省くために考えないこととしました。

知ってる相手が勝つか分からないため、コスパが悪い行為となりえたからです。
その分、2選手ことはかなり念入りに調べました。

み・さ・か選手について

おそらく、大会当時、日本で最もリンクスが上手く、世界規模でも並ぶものもそう多くないと考えていた強豪です。
参加者の中でも、「Negative1」こと、「Tadashi」選手、「Grucius」選手に並ぶ最強格の存在だと考えていたため、大会参加者であるかどうかに関わらずアンテナを張るべき人物であったと言えるでしょう。

とはいえ、「み・さ・か」選手のことはKCGT1stステージよりも前からずっとマークしていたため、大まかな持ち込みの予想は立っていました。

基本的にプレイングに自信があり、王道構成の持ち込みを好み、トップゲーを嫌うという部分から、

聖槍型「オノマト」+DD「サンダードラゴン」+「その他」

の持ち込みで予想し、サードデッキにはおそらく「トラミッド」か「TG」関連の何かを持ち込みしてくると予想していました。

「み・さ・か」選手は「ガイア」「鮫の領域」のような、デッキではないデッキを好まないことと、適切な調整結果からの持ち込みをしてくるという信頼があったため、下手に持ち込みで差をつけることを狙うのではなく、純粋にパワーの高いデッキをぶつけて勝負することが求められると考えていました。

パワーの低いデッキで誤魔化して勝てるほど甘い相手ではないと考えていたということでもあります。

なかさか選手について

一方、「なかさか」選手に関しては非常に情報収集が難しかったです。

予選を「メガリス」で突破してきており、その他デッキでの直近の入賞報告はシンプルな「オノマト」の使用歴があるのみ。
過去の入賞歴では「カラクリ」も扱っていた、ということで、「メガリス」という特異なデッキを操るだけにとどまらず、王道構成も扱えるかなりの曲者という評価でした。

様々な情報を調べるも追加で確認できたのは「セット!デルタアクセル」軸のTGの使用歴のみであり、「オノマト」が「全体のファーストデッキ」であることまで加味すると、追加の情報はないに等しい状態でした。

ないものは仕方ないので、とりあえず

「メガリス」+「オノマト」+「サードデッキ」(TG関連の何か)

で仮想オーダーを組み、当日を目指すことととなります。

これら2人の持ち込み予想を行った上で最終的な持ち込み、及び細部調整がなされていくこととなります。

セカンドデッキの最終調整

最終的に持ち込むに至ったセカンドデッキ「ハーピィ」のリストは以下のようなものです。

全体的に調整の感触が非常に良く、セカンドデッキながらに最も信頼して送り出すことができ、チームの勝ち頭となってくれたデッキです。
今大会ベストデッキは何かといわれたならば「ハーピィ」で間違いないでしょう。

以降、簡潔に採用、不採用の細かい部分を記していきます。

「ハーピィ・レディ1」の2枚採用

テンプレ構築では「ハーピィ・レディ1」と「ハーピィ・レディSB」とが1枚ずつ散らされている枠ですが、これは、「ハーピィ」全盛期の構築がミラーマッチや、対「炎王」戦を意識して散らされていたことの名残です。

今シーズンは「SC」+「レディ1」で作ることができる29打点が非常に重要な要素となっており、「トレミス」「バウンサー」といった環境を定義する27ラインをギミックで越えることができ、「起動要塞トリケライナー」を物理的に貫通することが可能である、といった風に「レディ1」を展開に据えることが重要な場面、対面が多かったです。

逆に「SB」が必要な場面はないに等しく、必要な対面には選出でマッチングを避けるという立ち回りが可能となっていたため、細かいながらもここを「ハーピィレディ1」で統一してリストを提出できたかどうかは、環境把握、及び、チューニングが的確に行えていたのかどうかの指標になりえる1要素であると考えています

参加者の全リストをまだ把握できていませんが、少なくとも「み・さ・か」選手、「Haru」選手、「ざるーぐ」選手は同様の持ち込みを行っていました。

「狡猾な落とし穴」の採用とデッキコンセプト

オノマト全盛期の前に猛威を奮ったカードであり、究極の引き得カードです。

環境でこのカードがあまり見られていないのは「オノマト」が「狡猾な落とし穴」に比較的強いというポイントだけでなく、「狡猾な落とし穴」を扱えるというメリットよりも、「オノマト」を扱えるというメリットが遥かに上回っている、ことが理由となっています。

しかしながら、依然としてこのカードは究極のパワーカードであり、その成立はゲームを破壊しかねないパワーを秘めています。

現環境で「ハーピィ」を扱う意義となるカードであり、1枚が持つには強すぎるそのパワーはこの構築のコンセプトを担う枠でもあります。

「ハーピィ・チャネラー」「スワローズネスト」「狡猾な落とし穴」といった、枚数が限られているパワーカードをできるだけ適切に引き込み、デッキを強く回転させることで2トップへのブレイクを目指すことこそが、最強のセカンドデッキ「ハーピィ」のデッキコンセプトです。

また、2トップ相手だけではなく、格下にも強く通るカードであるため、「狩場」を介した罠踏みの後ろに、このカードを設置して返すだけでも相手に凄まじい打撃を与えることができ、基本的に腐ることのない最強のカードであり、「ハーピィ」で2トップへのブレイクを目指すなら必須枠と言っても過言ではないでしょう。

被り、「サイクロン」による不発など、多くの懸念点はありましたが、「ハーピィ」の持つポテンシャルと破壊力を引き出すために最大枚数投入した枠です。

「月の書」の採用

「狡猾な落とし穴」の採用はデッキ内に採用できる妨害枠が必然的に少なくなってしまうというデメリットを併せ持っていますが、それを解決してくれるのが「月の書」です。

「狡猾な落とし穴」が関係なくとも単体で非常に高いパフォーマンスを誇る最強妨害枠であるため、このカードの割り振りは本戦参加者の悩みの種となったはずです。

私も例に漏れず、「オノマト」と「ハーピィ」で札の割り振りに悩んだものですが、デッキ枚数を極力切り詰めて、多少の事故率と引き換えにデッキの最大値を狙う、というブン回しを重視した構築手法を取ったことで、「月の書」を1枚採用に留めつつ、デッキパワーを担保する、という調整結果を出すことができました。

これにて、「オノマト」「ハーピィ」をそれぞれフルパワーで扱えるようになり、ダブルエースを立てる手法を取ることができました。

「ハーピィの狩場」の不採用

対サードデッキ対決において重要になりがちな枠です。

しかし、今大会の「ハーピィ」の持ち込み意図が、ギミックを強く回して2トップへのブレイクを狙い、サードデッキにはギミックで対処を図るの方針だったことから、2トップとの対面で素引きが浮きがちになり、負け筋を作る「ハーピィの狩場」は不要という結論を導き出しました。

もちろん、「トラミッド」「炎王」などとの当たりを考えれば構成内にあるに越したことはない枠ですが、最重要対策対象は2トップ、及び「なかさか」選手の「メガリス」です。

対「メガリス」では構築内に狩場があることよりも「先攻を取ること」がマッチアップ結果を非常に左右し、仮に先攻を取られてしまっても相手がブン回らなければ狩場が活きるか、相手の盤面が弱く返ってくると、調整結果で判断し、デッキ内の「狩場」の採用可否は大きな影響を及ぼさない、という結論を出し、デッキ枚数を切り詰めるために不採用としました。

また、「メガリス」とのマッチアップ対象を決めるのは自分だという自信があったため、最悪は起きない想定でこの構築を行いました。

「禁じられた聖杯」の採用

正直最初はあまり積極的には入れたくなかった枠です。

「月の書」と並んで「狡猾な落とし穴」と併用できる妨害枠ですが、かなりパワーの下がったカードであり運用が非常にピーキーな枠でした。

しかしながら対「オノマト」では先攻を取った際にSC+フリーチェーンの構えを取ることでほぼ1ターンを買うことができるため、セットから開けるなら何でもよく、対「サンダードラゴン」などでもDD未満の殴りで各種誘発をすり抜けた上で聖杯のバフを加えて決定打とする、といった「月の書」ではできない勝ち筋を生み出してくれる枠でもありました

「狩場」踏みをケアした「オノマト」の「バウンサー」単騎構えを無力化して「チャネラー」ムーブをキメるなど、2枚目の「月の書」としての役割から、コンバットトリックまでを一通りこなせる器用な枠であり、1枚のみに限った採用は相手からのケアも難しいことから、「見せカード」としての質もそこそこ高い隠れた良カードです。

これは、リストの調整を担当してくれた「人狼餅」が「月の書」を3枚持っていなかったが故に妥協的に採用して始まった調整の副産物でしたが、思わぬ形で集団調整の恩恵を受けることができました。

「月の書」の採用枚数を抑える事にも一役買ってくれたため、本大会MVP候補の1枠でもあります。

「デモンズ・チェーン」の2枚目の採用

魔法カードの妨害枠が少なくなったことから、「狡猾な落とし穴」を阻害しないように永続罠カードで補強を行う必要がありました。

本来は「デモンズ・チェーン」1枚目のみを採用し、21枚と限界まで切り詰めた構成を行うつもりでしたが、直前に「暗闇を吸い込むマジックミラー」のバリューの高さと悩み、2枚目の永続罠を構成に加えます。

しかし、「なかさか」選手とのマッチアップを想定した場合、最も「メガリス」に投げやすいデッキは「ハーピィ」もしくは「サイクロン」採用の「オノマト」でした。

そこから、「ハーピィ」が「メガリス」とマッチアップした時に負け筋を作らないこと、後手で引いてもメイン終了の駆け引きを通せば「メガリス・ベトール」を受けられる目があること、「暗闇を吸い込むマジックミラー」よりも汎用性が高いことなどを考慮し、リスト提出直前に「デモンズ・チェーン」の2枚目と差し替えることとなりました。

「サイクロン」採用のオノマトに限らず、「なかさか」選手の「メガリス」を強く意識した持ち込みを行っていたことが伝わると嬉しいです。

その他エクストラ事情

エクストラに関しては、いわゆるテンプレであり、目立った部分はありません。

とはいえ、「ハーピィ」のリストは「SB」スプリットと同じく、調整されていないが故のテンプレリストの気配を感じていたため、一通り枠の調整を考え直しました。

明らかに不要だと感じられたのは「深淵に潜むもの」、ミラーマッチを想定しないなら不要なのは「№18 紋章祖プレイン・コート」でした。

これらを廃した場合、真っ先に採用候補に挙がったのは「電子光虫コアベージ」及び「迅雷の騎士 ガイアドラグーン」でした。

いつもの

しかしながら、「ハーピィ」の強さを正しく理解しているプレイヤーの数が一定数見込めると考えたことこと、そうでなくとも、候補不足から、納得せずとも30枚サイン型の「ハーピィ」の持ち込み、といった行為は十分になされる可能性があると考えたことからミラーマッチを切り捨てるのは危険だと判断します。

散々選出でケアを行う、といった話をしてきましたし、基本的には選出でケアを行うつもりでしたが、エクストラデッキに結局余りが生じているならば、選出での負担を和らげる意味も込め、「プレインコート」採用を決断、残った1枠に「深淵に潜むもの」以上の勝ち筋メイカーを望めなかったことから渋々ながらも続投を決めてリストを提出しました。

その他不採用となった候補カード

・ブレイクスルースキル

往復ターンで効果を使える点は魅力的だったものの、「狡猾な落とし穴」と被った時に先に開けないことがネックになる試合が多く、それは対「オノマト」戦の先攻で顕著な問題点となりました。

結局その枠は「デモンズ・チェーン」「暗闇を吸い込むマジックミラー」の譲られることとなり問題はひとまずの解消を見ました。

・ヒステリックパーティ

「ハーピィ・パヒューマー」や「ハーピィ・オラクル」+「万華鏡-華麗なる分身」といった弱初動との相性が良く、成立がゲームを破壊しかねないパワーカードですが、「チャネラー」初動との相性が悪い、単体での防御性能がないに等しい、「サイクロン」に弱いといった弱点も相当にあり、勝ち筋と負け筋の割合が採用リスクに見合わないと感じて不採用。

「狡猾な落とし穴」の採用からできるだけ罠カードの採用を避けたかったという考えも採用に影響しました。

サードデッキの最終調整

その他サードデッキの死

最終的にサードデッキに決定したのは「サンダードラゴン」です。
とはいってもこれは全く積極的な選択ではありませんでした。

結局のところ、「サンダードラゴン」以外のデッキが望む水準に達することなく勝手に振り落とされていったというだけの話です。

その他サードデッキ全般にいえることですが、2トップのせめて片割れには通じるだけの一芸を持った上で、その他サードデッキとの対決に不利を被らず、更に汎用パーツを必要としない、という条件に耐えられるものはありませんでした。

サードデッキと呼ばれるデッキは皆、一律に何かしらの問題点を抱えていました。

片や、最大値を出すまでの過程に許容できない事故率を内包しており、事故が少なかったとしても最低限の安定性と引き換えに最大値が低いという問題を解消しきれなかったのです。

前者の場合、事故率とパワーのトレードオフの観点でサンドラに勝る持ち込みは存在せず、後者の場合、やや回りが「オノマト」「ハーピィ」のやや回りからブン回りに轢かれるようでは持ち込みの意味がありません。

特に後者の場合は、相手の脅威になりえないという観点で最悪で、事故っている「サンダードラゴン」の方が「手札誘発」による脅威、及び生き延びた時の噴火の希望があるだけまだナンボかマシ、という評価でした。

事故っているサンドラより安定して脅威を提示可能で、最低限のブン回りを備えたリストを必死に模索しましたが、環境にそんなデッキは存在しなかったと考えています。

結局のところ、ここまで長々と語ってきたサードデッキを探すこの旅も、「サンダードラゴン」が強いのは分かるが積極的には使いたくないので、代用を探す、という旅であり、そのゴール地点に辿り着いてなお、そんなものはなかったという結論が待っているだけでした。
これが今の環境の「答え」です。

また、各デッキ紹介の項目でも述べていましたが、「サンダードラゴン」の存在を嫌うサードデッキもかなりの数存在しており、プレイヤーが使用することを嫌う以上に「サンダードラゴン」を使われることを嫌うデッキが多いことも理解できていました。

「サンダードラゴン」というデッキは、使い手、対戦相手の双方にとっての癌だったのです。

実際、今期は「オノマト」が環境トップを取りつつづけたわけですが、メインデッキ限定でのBO3の大会などでは、「オノマト」を差し置いてトップメタは「サンダードラゴン」であり、そこに「サンドラ」メタ枠がアプローチをかける、といった独自のメタゲームが展開されていたことも「サンダードラゴン」採用に踏み切るだけの動機となりました。

本戦では相手の構成に存在するか分からない「サンダードラゴン」メタ構成のような極端な構成は存在せず、あっても早めに脱落すると想定していたことも追い風でした。

実際、「ガイア」を強く持ち込むことはほぼ困難であると考えていたため、上位帯で想定される不利なマッチアップは「トラミッド」だけであり、構成の残り2枠が「トラミッド」に強い持ち込みであったことからも、「サンダードラゴン」の持ち込みはメリットの方が大きいと考え、持ち込みに至りました。

長々と解説を加えてきましたが、ここからは当日持ち込みを行った「サンダードラゴン」のリストと細部の解説になります。

当日持ち込んだ「サンダードラゴン」

27枚の構成+DD枠の「邪帝ガイウス」の28枚であり、いわゆるテンプレリストそのままです。

その他2デッキは、既存のテンプレリストをベースに細かく札の入れ替えをしてきたものですが、このリストに関しては触れる部分が一切ありません。
それほどまでにベースとなるリストが完成されており、手を加える隙がありませんでした。

リストが完成しきっているという安心感があったため、直前までその他サードデッキの検討、調整を行い、諦めをつけて「サンダードラゴン」へ乗り込むことができたわけです。

以下、補足を加えます。

「邪帝ガイウス」の採用

スキル「デスティニードロー」から触るための札であり、主に「インヴェルズ・ローチ」を対策するためのカードです。

比較対象となるカードは「ライトニング・ボルテックス」「月の書」ですが、メタ対象の「ローチ」を有する「オノマト」の「禁じられた聖槍」で受けられてしまうという問題点があり、DD枠として採用するには少々心許ないという欠点がありました。

その点、「邪帝ガイウス」はモンスター効果を止められなければ、役割が遂行できる上に、素引きした際にサードデッキに高いパフォーマンスを見込めるという利点があります。

シングル戦では「オノマト」への「デモンズ・チェーン」採用も可能性がありましたが、それよりも採用率が高いであろう「禁じられた聖槍」のケアを最優先と考え、「ガイウス」の選出に至りました。

前述の通り、対サードデッキで高いパフォーマンスを見込めることから、素引きを重視して2枚目の採用まで検討しましたが、サンドラというデッキに「誠意」を見せるためにデッキ枚数を極限まで絞ることを方針としたため、1枚のみの採用となりました。

ヴォルカザウルスの採用とその他エクストラ事情

エクストラもメインデッキと同様にテンプレのリストを使っていましたが、唯一「始祖の守護者ティラス」が採用されている枠に「ヴォルカザウルス」を採用していました。

これには複数の理由があります。
1つ目は、「ティラス」が有効な対面の少なさです。
「ティラス」は特に「トラミッド」「鮫の領域」のようなデッキとのマッチアップで強いとされているカードです。
後者はデッキではないため、説明を省きますが、前者に対して「ティラス」が有効な場合がどれほどあるのか、という問題があったからです。

「トラミッド」は扱いが非常に難しいが適切に扱えば高い勝率が出る、というデッキの筆頭で、本戦に持ち込みを行ってくるプレイヤーはその中でも極めつけのオタクプレイヤーです。
そんなプレイヤーが「ティラス」が成立すると危険な場面でそれを指をくわえて見ているなんてことがあるでしょうか?

もちろんそんなことはありませんし、なんなら「ティラス」が成立してしまうということは、その時点で出されても問題がないから通っているだけです。
逆説的に「ティラス」はその存在感だけで「古代遺跡の目覚め」(トラミッドパルス)を筆頭とする破壊を伴う除去罠を事前に開かせることができるため、不採用がバレなければ問題はないという考えでした。

2つ目は「ティラス」が有効なマッチアップ率です。
前述の通り、「ティラス」を出したい相手は「トラミッド」ですが、「サンダードラゴン」はそもそもとして「トラミッド」との当たりを嫌いますし、自分も可能な限り苦手マッチをよけて選出するつもりだったため、必要になる場面は来ないという判断になりました。

以上2つの理由から、「ティラス」の存在を見送ることとなりました

その代わりに「ヴォルカザウルス」を採用したのは、ミラーの練度不足を誤魔化すためです。
高い打点と破壊、バーン効果は意識していない相手を瞬間的に焼き切ることが可能です。

実際、KCGT1stステージ予選の時点で行った身内調整でも「サンダードラゴン」ミラーを「ヴォルカザウルス」襲来だけで何本か落としており、「ティラス」と同じ便利枠なら、練度埋めも兼ねて採用の価値はあると感じ採用に至りました。

まとめ

以上のような流れで、当日持ち込むこととなった3つのリストが完成しました。

今回も長くなってしまったので一旦ここまでとしておき、当日の選出の思考やレポートは次回以降とさせていただきます。

それでは皆さん、またお会いしましょう。

[遊戯王DL]KCGT2021本戦決勝ステージ調整録①[世界大会]

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